映画「カメラを止めるな」を観て感じた演劇界の可能性

映画「カメラを止めるな」を観て、心から面白かったとはならなかった。
何故なら前評判が良すぎたせいもあり、期待値マックスで観たから。
映画の途中で、すぐに影響を受けたであろうある舞台作品が私の脳裏に浮かんだ。だから素直に観ることが出来なかった。
その舞台作品はすでに多くの人が指摘している、「ショウ・マスト・ゴー・オン〜幕を降ろすな〜」。文字通り、一度開いた幕は降ろしてはいけない。色んなトラブルが起こる中、舞台人たち(役者にスタッフ)が懸命に舞台を成功させようと奮闘するコメディ。三谷幸喜率いる東京サンシャインボーイズの1991年に公演された舞台作品だ。
監督の上田氏もこの舞台に影響を受けたと言っているし、決して盗作だろう!など言いたいわけではない。低予算でろくにPRも出来ない中であそこまで話題になり大ヒットしたのは、本当にすごいこと。
ただ、世間の評判があまりにも良すぎることに不思議な気持ちになった。エンタメ業界で働き多くのエンタメに触れてきたであろう人までもが「こんな映画見たことない」「斬新」「意表をつく展開」などと大絶賛していたことに非常に違和感を感じたからだ。
あの手法はすでに多くの作品で使われている演出だから私には当たり前であって、もうジャンル化していると言っても過言ではない。好きな展開であって、そこに付随してくる人間ドラマに感動したりする。ただ、正直「カメラを止めるな」にはその部分が足りなかった。単なるコメディで私にとっては物足りなさを感じる作品だった。

舞台は映画と違って気軽に観れない。ストーリーも演出も役者もまだまだ一般的には目新しいものがたくさん観れるのかもしれない。
もっとみんな演劇を観た方がいい。あとで編集がきかない一発勝負の舞台には観客を魅了するためのアイデアが満載だ。演劇に苦手意識持ってる人多いと思うが、映画などクリエイター業に限らず何かしらヒントをもらえるアイデアの宝庫なのかもしれない。